シンガポールを出港すると、翌日にはマラッカ海峡の要地マラッカに着き、半日碇泊して、翌日には同じマレー半島のペナン島に着く。 マラッカもペナンも半日碇泊なので、マッサンは、美しい風景を船上から眺めただけで、上陸しなかっただろう。
<ペナン島の夕陽>

神戸を出港してから、ペナン島に着くまでに、すでに20日が過ぎている。 ここまでは、まるで亀さんのような歩みで船は進む。 おそらく、アジア各港では、下船する客や乗船する客が多かったと思われる。
ペ ナン島を出港すると、いよいよ、5日間をかけてインド洋を横断する遠洋航海となる。 セイロン(現スリランカ)のコロンボに到着するが、碇泊は1日だけだ。 コロンボを出港して、アラビア海を横断してバブ・エル・マンデブ海峡を通過、紅海に入り北上する。 12日間の航海だ。 そして、ようやく、スエズ運河に到着する。
<コロンボ港>

ス エズ運河は、1869年に開通した。 建設当初のスエズ運河は全長164キロ、深さ8メートルだった。 今はもっと長くなり194キロだ。 スエズ運河を挟む地中海と紅海には海面の高度差がほとんど無い。 運河を通過するには、今でも時速20キロ の速度で10時間近くかかる。
な ぜなら、運河を通行できる航路が、今も昔も1レーンだけなのだ。 船がすれ違う場所は、バッラ・バイパスやグレートビター湖など5箇所に限定されている。 例えば、北から1船団が早朝に進入し、グレートビター湖に停泊して、南から上る船団を待ち、ここですれ違う。 この南からの船団は、バッラ・バイパスまで進むと停泊して、北から来る2番目の船団を待ってから、すれ違うのだ。
<スエズ運河>

マッサンを乗せた香取丸は、半日以上をかけてスエズ運河を通過したと想像する。 マッサンは船上から、岸辺をのんびり行くラクダを眺めていたのではないだろうか。
運河を通過し終えた所が、地中海に面するエジプトのポート・サイドだ。 さらに、ここで半日碇泊して、食料などを積み込んだと思われる。
いよいよ地中海だ。
フランスのマルセーユを目指して、マッサンを乗せた香取丸は、ポート・サイドを出港する。
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