地中海は、ジブラルタル海峡からキプロス島の東まで、非常に横長の海だ。 東西の距離は約3500キロだ。 ポート・サイドは、この地中海の東端南部に位置している。
<クレタ島>
香 取丸は、エジプトの沿岸を進み、クレオパトラで有名なアレキサンドリアを遥か左舷に見ながら航行する。 そして、ギリシャのエーゲ海に浮かぶ、クノッソス宮殿のあるクレタ島に接近していく。 そこで針路を西北西に転じる。 新針路の目標は、イタリア南端、シチリア島(シシリー島)の南方に浮かぶマルタ島だ。 現在はマルタ共和国という人口43万人のミニ国家だが、マッサンの時代は、イギリスの支配下にあった。
<マルタのバレッタ市>
マルタ島を左舷に見ながら航行を続け、針路を北西に転じる。 針路の先には、イタリアのサルデーニャ島南端が在る。 サルデーニャ島の南端をかすめるように航行して、針路を北北西に転じて、一路、南仏のマルセーユを目指す。
マ ルセーユは、陽光溢れる南仏の港街だ。 ここでは、1日間の碇泊だ。 久しぶりの大地なので、マッサンは上陸したでしょう。 この街は、18世紀末には産業の要地となっていて、現在の商工業を中心とする市街が発展し、19世紀半ば以降には、港湾施設が充実し多くの工業が興った。 現在のマルセーユ は、フランス最大の港湾都市で、地中海のリオン湾を臨む文化都市でもある。
<マルセーユ>
マ ルセーユを出港したら、針路を南西にとり、フランス南部沿岸からスペイン東部沿岸を沿うようにジブラルタル海峡を目指して航海する。 やがて、香取丸は、スペイン南岸とアフリカ大陸北岸に挟まれた、アルボラン海に入る。 ジブラルタル海峡まで、あと一息だ。 マルセーユからジブラルタル海峡までの航海には、2~3日間を要したであろう。
ジブラルタル海峡は、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸を隔てる海峡だ。 海峡の幅は、イベリア半島最南端のタリファ岬〜モロッコのアルカサル・エ・セリル間が最も狭く、14キロしかない。
<ジブラルタル海峡>
ジ ブラルタルは、イベリア半島の南東端に突き出した小半島のことだ。 ここはスペイン領ではなく、18世紀からイギリスの海外領土なのだ。 ジブラルタル海峡を望む良港を持ち、地中海の出入口を抑える戦略的要衝の地だ。 すなわち「地中海の鍵」として、軍事面と海上交通上でも重要視されてきた。 現在もイギリス軍が駐屯している。
マッサンを乗せて、香取丸は、ジブラルタル海峡を通過して、ようやく大西洋に入る。
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